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『新宿歴史博物館紀要・創刊号』(1992年) [中村彝を知るための45冊]

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 1992年(平成4)に発行された『新宿歴史博物館・創刊号』には、中村彝(つね)の親友のひとりだった洋画家・曾宮一念のインタビュー記事が掲載されています。曾宮一念は、中村彝のアトリエから西へ400mほどの、下落合の地元では「諏訪谷」と呼ばれた谷戸の上へ、1921年(大正10)にアトリエを建てて住んでいました。曾宮と彜とは、今村繁三が開催していた「牛鍋会」で知り合い、谷中時代そして下落合時代を通じて親しく交流しています。曾宮は彜を見舞うため、彝アトリエへ足繁く通っていましたので、もっとも多くの時間をともにした身近な友人のひとりです。同紀要のインタビュー時には99歳を迎えていましたが、その明晰な頭脳と記憶力は衰えていません。彝が亡くなったとき、岡崎きいが知らせに走ったのは鶴田吾郎アトリエだけでなく、その帰り道に曾宮アトリエにも寄っているのがわかります。また、彝と同様に下落合で親しかった、佐伯祐三や会津八一についての証言もたいへん貴重です。
 『新宿歴史博物館・創刊号』は現在品切れとなっており、新宿区や新宿歴史博物館では入手することができません。また、収蔵されている図書館は都内の公立図書館では半数ほど、また美術館・博物館関連では新宿歴史博物館、東京現代美術館、東京国立博物館、江戸東京博物館などのライブラリーに収蔵されています。

画像右は鶴田吾郎『初秋』(1921)。描かれているのは曾宮一念と、完成直後の曾宮アトリエ。


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