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『茨城県近代美術館研究紀要』第11号(茨城県近代美術館/2004年) [中村彝を知るための45冊]

 

 中村彝に関する最新研究の「紀要」第11号には、舟木力英・著の「中村彝の名前と署名」が掲載されています。彝をはじめ、兄の「直」や「中」という名前の漢字が、幕末における水戸学の会沢正志斎や藤田東湖などの著作に散見されることから、後期水戸学に心酔していた父親がそれらの書物から引用したのではないかという考察がなされています。また、彝の作品署名について、各時代ごとに細かくその筆跡が研究されています。興味深いのは、署名全体の37.6%にもおよぶ漢字署名の中で、彝自身が署名で「彝」(米に糸)と書いているものと、「彜」(米に分)と書いているものとが混在している点です。つまり、中村彝と表記するとき、「つね」の字が「彜」(米に分)の表記でも、必ずしも誤りではない・・・ということになります。これは、洋画家・松本竣介を「俊介」(本名)と書いても誤りではないように、どこか近似した署名テーマのようにも思えます。さらに、英文字やイニシャルの筆跡についても、詳細な研究がなされています。
 美術館の資料室やライブラリーには、たいがい収蔵されています。また、本書は現在でも販売中で、茨城県近代美術館のミュージアムショップ「ノービス」で購入することができますが、一般の書店では扱っていません。ミュージアムショップでは通信販売も行っていますので、詳細は下記へお問い合わせください。
茨城県近代美術館 ミュージアムショップ「ノービス」  TEL.029-243-8765
  〒310-0851 茨城県水戸市千波町東久保666-1

表紙写真は、最新の『茨城県近代美術館紀要』第12号。


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