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中原信『中原悌二郎の想出』(日動出版/1981年) [中村彝を知るための45冊]

 

 中村彝(つね)の女友だちのひとり、またのちに彝の親友である中原悌二郎の妻となった中原(伊藤)信の著作です。夫の悌二郎についてはもちろん、夫妻の身近にいた彝のことについても頻繁に触れられています。中原信は、新宿中村屋へ寄宿しているとき、娘の相馬俊子や千香と同室で暮らしていました。また、しばらくの期間、相馬家の家族や彝とともに食卓をかこんだ経緯があります。彝のアトリエを訪問するとき、その親しみからか岡崎きいのがんばる西側玄関からではなく、庭先の生垣を飛び越えて直接アトリエを訪ねていったことから、きいから“不良娘”というレッテルを貼られてしまった“有名”な女性です。彼女と中原悌二郎との結婚をとりもったのは、ほかならない彝自身でした。中原悌二郎が、1919年(大正8)に彝アトリエで制作した「若きカフカス人(ニンツァー像)」についても、その前後の事情も含めて詳しく書かれています。また、彝ばかりでなく、その周辺にいた画家や彫刻家たち、あるいは中村屋へ出入りした人々の様子も詳しく伝えています。
 絶版になっている本ですが、古書店や古本ネット通販で比較的たやすく入手することができます。また、たいがいの図書館や美術館の資料室にも収蔵されていますので、手軽に閲覧できます。

写真右は、中原悌二郎と結婚したころの中原信。


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