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梶山公平・編『芸術無限に生きて-鈴木良三遺稿集』(木耳社/1999年) [中村彝を知るための45冊]

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 中村彝に兄事していた洋画家・鈴木良三の遺稿を、中村彝会の故・梶山公平会長が編集して出版した書籍です。中村彝をはじめ、鈴木良三が「目白バルビゾン」と名づけた、大正期に下落合とその周辺に住んでいた芸術家たちをていねいに紹介しています。
 中でも、中村彝アトリエの外観や室内に関する細かな観察が記録されていて、当時のアトリエのカラーリングや屋内のレイアウトを知るには欠かせない1冊だと思います。また、筆者は洋画家・鈴木誠の死後に同アトリエを再訪しており、当初の彝アトリエの姿からどの部分を増改築したのかが、住民の方への取材を通じて明らかにされています。中村彝関連のエッセイのほか、周辺の画家たちとの交流や当時の下落合界隈の風景描写など、大正時代の彝アトリエとその周辺を知るには格好の資料となっています。
 現在でも、ネット書店や街の大型書店では入手可能ですが、小部数発行だと思いますので残部はそれほどないのではないかと想像します。収蔵されている図書館は、いまだそれほど多くはありません。東京でも置いている図書館は少なく、目立つところでは国会図書館と東京都中央図書館とがありました。ただし、美術館系の資料室などには、収蔵されている可能性が高いと思われます。

写真右は、遺稿の著者である1960年代ごろの鈴木良三。

 


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