SSブログ
中村彝を知るための45冊 ブログトップ
前の10件 | 次の10件

『中村彝・中原悌二郎と友人たち』(茨城県近代美術館/1989年) [中村彝を知るための45冊]

 中村彝(つね)の生誕100周年にちなみ、茨城県近代美術館が主催して行われた「生誕100年/中村彝・中原悌二郎と友人たち」展の図録です。同展は、茨城県近代美術館のほか、福島県立美術館と練馬区立美術館(東京)で開かれました。中村彝のみを取り上げた展覧会ではありませんが、彝が1887年(明治20)生まれ、親友だった彫刻家・中原悌二郎が1888年(明治21)生まれと、ともに生誕100年をすぎたばかりということで、ふたりとその身近にいた友人たちの作品を集めて開催されたものです。図録には、ふたりに関する多くの評論が収められていますが、中村彝を主題としたものが大半を占めています。
 原田実「中村彝とその時代」、匠秀夫「中原悌二郎とその時代」、桑原宏行「『カルピスの包み紙のある静物』について」、舟木力英「中村彝が見たルノワールのオリジナル作品」、関部幹彦「<林檎一個>と二つの個性-中村彝と岸田劉生-」、土方明司「『髑髏を持てる自画像』について」、三木哲夫「保田龍門旧蔵の3点の銅版画について」、中村秋一「中村彝のこと」などが収録されています。また、彜や中原悌二郎のほか、彜アトリエへ去来した主な友人たちの年譜も紹介されています。
 古書店や古本ネット通販でも、頻繁に見かける図録ですので、入手は比較的容易です。また、多くの美術館の資料室やライブラリーなどでも、たいがい収蔵されていますので、手軽に閲覧することができます。


nice!(1)  トラックバック(1) 
共通テーマ:地域

『茨城県近代美術館紀要』第4号(茨城県近代美術館/1996年) [中村彝を知るための45冊]

 

 中村彝に関する最新研究の「紀要」第4号には、舟木力英・著の「中村彝と西洋美術」が掲載されています。中村彝が影響を受けた画家たちについての、まとまった考察による研究論文です。各時代とともに移りゆく彝の描画表現と、それらの時代にもっとも影響を受けていた西洋画家たちの作品とを、具体的に図版を例示して対比させながら、彝が残した作品の全体像に迫ろうと試みています。その影響が顕著な西洋画家として、シスレー、ルーベンス、ルノワール、ゴッホ、セザンヌ、レンブラントなどが挙げられています。
 美術館の資料室やライブラリーには、たいがい収蔵されています。また、本書は現在でも販売中で、茨城県近代美術館のミュージアムショップ「ノービス」で購入することができますが、一般の書店では扱っていません。ミュージアムショップでは通信販売も行っていますので、詳細は下記へお問い合わせください。
  茨城県近代美術館 ミュージアムショップ「ノービス」  TEL.029-243-8765
   〒310-0851 茨城県水戸市千波町東久保666-1

表紙写真は、最新の『茨城県近代美術館紀要』第12号。


nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:地域

『三彩』第309号(三彩社/1973年) [中村彝を知るための45冊]

 東洋美術に関する美術誌のイメージが強い『三彩』ですが、1973年(昭和48)11月号ではめずらしく洋画家・中村彝の特集を組んでいます。彜自身の著作である『芸術の無限感』(岩波書店/1926年)からの抜粋や、匠秀夫・編による年譜が掲載されています。本誌が資料として重要なのは、彝が亡くなった直後に発行された『木星』中村彝追悼号(1925年2月号/3・4月合併号)掲載の追悼文のうち、3人の文章が再録されている点です。すなわち、保田龍門「死面をとるとき」、前田慶蔵「研究所時代の中村君」、戸張孤雁「日暮里時代の中村君」の3篇です。大規模な図書館、あるいは充実した美術館の資料室やライブラリーへ出かけない限り、手にとって読むことができない『木星』に掲載されたこれらの追悼文は、なかなか手軽に参照することができません。そういう意味で、本誌は比較的入手しやすい貴重な資料となっています。どちらかといえば、中村彝に関する知識をあらかじめ持っている方向けの編集です。
 古書店や古本ネット通販で、ときどき見かけることがあります。また、東洋美術に関する代表的な美術誌ですので、図書館や美術館の資料室などに収蔵されている可能性が高いと思われます。


nice!(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:地域

臼井吉見『安曇野』全5巻(筑摩書房/1965~1974年) [中村彝を知るための45冊]

  
              

 長野県の安曇野出身の小説家である臼井吉見が、11年の歳月をかけて創作した小説です。1964年(昭和39)の執筆スタート以来、1974年に脱稿するまで全5巻が筑摩書房から出版されました。のちに新宿中村屋を開くことになる相馬愛蔵と相馬良(黒光)を中心に、彫刻家・荻原守衛(碌山)、教育家・井口喜源治、社会主義者・木下尚江など、そして戦後は著者自身を主人公として、明治時代から昭和中期までの物語がすべて実名で展開します。『安曇野』第2巻で碌山が死去し、明治が終るあたりから中村彝が頻繁に登場し、3巻にかけて中村屋裏のアトリエにおける物語が紡がれていきます。特に、作中では饒舌な彝と相馬俊子との会話が興味深く、“画聖”となってしまった死後の彼ではなく、実際の彝に接しているようなリアリティを感じます。小説という形式上、ドキュメントではなく本質的にはフィクションですが、中村彝が生きていた明治から大正にかけての時代が活きいきと描写されています。野間宏風にいえば、新宿中村屋をめぐる各時代を全的に描ききった、“全体小説”とでも表現すべき作品といえます。著者自身も書いているように、1巻から順番に読み進むのではなく、どの巻から読み始めても楽しめる構成になっていますが、その場合は登場人物たちの予備知識があらかじめ必要です。
 単行本は70年代末に絶版となっているようですが、80年代半ばにちくま文庫から全5巻が改めて刊行されています。ただし、こちらも現在では書店で入手できません。古書店や古本ネット通販では、単行本および文庫版ともに頻繁に見かけますので、すべての巻を入手することは容易だと思います。また、臼井吉見の代表作ですので、図書館でもすぐに閲覧することができます。


nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

『近代の美術』第27号(至文堂/1975年) [中村彝を知るための45冊]

 

 文化庁や東京国立近代美術館などが監修する、1975年(昭和50)に発行された『近代の美術』第27号が、浅野徹・編による中村彝の特集号となっています。美術誌の形式ですが、全編が中村彝の記事で占められており、その仕事や生涯を年代順にたどる内容となっています。彝の生涯を<生い立ち>、<研究所時代>、<新進洋画家>、<「大島風景」前後>、<「エロシェンコ氏の像」まで>、<新たな試みと死>と6つの時代に区分し、それぞれの次期における彝の創作や生活、エピソードについて概説しています。また、巻末には詳細な年譜が掲載され、作品図版も数多く収録されていますので、中村彝の入門書として最適です。
 一般の図書館に置いてあるところは少なく、美術館の資料室やライブラリーには確実に収蔵されています。また、古書店や古本ネット通販でもときどき見かけますが、それほど高価ではなく、比較的入手しやすい資料といえます。

写真右は、同誌の裏表紙。


nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:地域

川崎久一『死んでも一枚の絵を描きたい』(柏崎週報社/1984年) [中村彝を知るための45冊]

 新潟県の柏崎刈羽郷土史研究会の著者が、おもに中村彝と柏崎市とのつながりにテーマをしぼって書いた評伝です。記述は、柏崎へ来訪したワシリイ・エロシェンコのエピソードから始まります。柏崎出身の洲崎義郎や小熊虎之助などとの交友をはじめ、第六章以降は彝の生涯が柏崎からの視座で語られていきます。また、彝の周辺にいた友人知人たち、曾宮一念や鈴木金平などが柏崎を訪れた経緯も紹介されています。彝と柏崎、そして彝の仲間たちと柏崎との強い絆を知るうえでは、またとない最適な1冊となっています。
 古書店や古本ネット通販では、発行部数が少なかったのかめったに見かけません。大きめの図書館には、収蔵されているケースが多いようです。また、美術館のライブラリーや資料室では、たいがい閲覧することができます。

 


nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:地域

『茨城県近代美術館研究紀要』第1号(茨城県近代美術館/1991年) [中村彝を知るための45冊]

 

 中村彝に関する最新の研究成果が掲載されている、茨城県近代美術館が発行する「紀要」です。1991年に創刊以来、現在まで12号が出版されており、彝作品に関するもっとも新しい研究情報となっています。創刊第1号には、舟木力英・著の「中村彝の初期作品」が掲載されています。明治末から大正初期にかけての、彝の初期作品にスポットを当てて、当時の友人知人たちの証言なども織りまぜながら、作品ごとの表現の推移や、レンブラントやゴッホ、セザンヌなどからの影響を考察しています。また、描画手法の微細までを分析しており、中村彝の作品についてこれまでになく詳細な研究が重ねられています。
 美術館の資料室やライブラリーには、たいがい全号が収蔵されています。また、現在も各号ともに販売中で、茨城県近代美術館のミュージアムショップで購入することができますが、一般の書店では扱っていません。ミュージアムショップでは通信販売も行っていますので、詳細は下記へお問い合わせください。
 茨城県近代美術館 ミュージアムショップ「ノービス」  TEL.029-243-8765
  〒310-0851 茨城県水戸市千波町東久保666-1

表紙写真は、最新の『茨城県近代美術館紀要』第12号。


nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

鈴木良三『中村彝の周辺』(中央公論美術出版/1977年) [中村彝を知るための45冊]

 中村彝の親友のひとりであり、長く中村彝会の会長をつとめた鈴木良三による、彝と周囲の人々との交流を描いた評論集です。彝と交流のあった人たち34名(著者含む)を取り上げ、それぞれ当時の想い出を交えながら記述しています。あらかじめ、中村彝の生涯について予備知識がないと、記述の飛躍があるのでわかりづらい内容ですが、彝の交友関係や彝周辺をめぐる当時の状況を知るには、当事者の証言による貴重な資料のひとつとなっています。
 本書は絶版になって久しく、古書店や古本ネット通販で入手するしか方法がありません。図書館でも、現在では収蔵しているところが少ないようです。

●写真:1988年(昭和63)7月に茨城県知事公館の前で撮られた、茨城県知事や県職員たちと中村彝会との記念写真。印が、当時の会長であり本書の著者である鈴木良三。

 


nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

『中村彝とその周辺』(茨城県近代美術館/販売中) [中村彝を知るための45冊]

 中村彝のふるさと水戸市にある、茨城県近代美術館が編集した所蔵作品の図録です。彝の作品群を中心に、彼の友人知人など周辺作家たちの作品を網羅しています。中原悌二郎をはじめ、石井鶴三、戸張孤雁、保田龍門、高村光太郎、曾宮一念、鶴田吾郎、鈴木良三、堀進二など、茨城県近代美術館に所蔵されている作品が収められています。彝の書簡や絵はがきなども、写真入りでていねいに紹介し、彼が身につけていた衣装や所有していた書籍・レコード類なども掲載されています。また、解説としてはコンパクトでわかりやすい彝の伝記として、金原宏行「中村彝の人と芸術」が収録されています。
 出版年が記載されておらず、何年に刊行されたのかは不明ですが、現在でも茨城県近代美術館のミュージアムショップで手に入れることができます。一般の書店では扱っていません。ミュージアムショップでは通信販売も行っており、本書の代金1,400円と送料500円を現金書留で送ると、すぐに郵送してくれます。注文先は以下のとおりです。
 茨城県近代美術館 ミュージアムショップ「ノービス」  TEL.029-243-8765
  〒310-0851 茨城県水戸市千波町東久保666-1

 


nice!(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

『歿後六十年記念/中村彝展図録』(1984年) [中村彝を知るための45冊]

 

 1984~85年(昭和59~60)にかけて、三重県立美術館(84年10月13日~11月25日)と神奈川県立美術館(84年12月8日~85年1月20日)で開かれた、「歿後六十年記念/中村彝展」の図録です。カラー32ページで残りはモノクロ画像ですが、彝の代表作が網羅されています。特に、この時期までに新たに発見された彝作品も収録されており、同年の日動出版が刊行した『中村彝画集』を除けば、もっとも作品のまとまった図録といえます。
 また、巻頭および巻末には、当時は神奈川県立近代美術館の館長だった匠秀夫をはじめ、山口泰弘、酒井忠康、牧野研一郎、原田光が、作品についての解説文を寄せています。現在は古書店で入手可能なほか、美術館の資料室などで見ることができます。


nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート
前の10件 | 次の10件 中村彝を知るための45冊 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。